コンジローマ除去　福岡県糸島市から【診療録97】2年間治療したが

2020.06.12

福岡県糸島市よりコンジローマ除去を希望された３０代の患者様がご来院されました。

治療の経緯

今回の患者様は、これまで2年ほど一般病院の泌尿器科や皮膚科でコンジローマ除去の治療をおこなってきたそうです。しかし、どれだけ通っても完治せず悩んでいるとのこと。コンジローマ自体はペニスの亀頭周辺や陰茎部および肛門近くの陰嚢部にまで渡る範囲にできているそうです。皮膚科でコンジローマ治療で処方されるベセルナクリームで皮膚が激しくかぶれてしまい、状態が酷くなったようです。元々、アトピーをお持ちの方で皮膚自体は強くなかったようです。

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個人クリニックならではの強み

クリニックを選ぶ際に「料金」ばかり気にしていると、いざという時に
困ることがあります。治療は治るまでが治療であることをお忘れなく。

福岡・博多・天神で手術を受け、術後の緊急時対応で夜間でも駆けつけてくれる執刀医がどれほどいると思いますか。

大手クリニックチェーンに多い、医師が出張で手術を行っている医療機関では、このような対応は難しいかと思われます。
当院のように院長が常駐しており、緊急時もすぐに駆け付けて対応できる医療機関は、実際大変少ないと思われます。

本当に患者様が治療後も安心だと感じる、術後のアフターケア対応はこういうことだと当院は考えます。

保険適用でおこなう尖圭コンジローマ除去の方法

今回のケースのように何年も一般病院でコンジローマ除去の治療をおこなったが改善がないとのご相談を多くいただいております。保険診療でおこなうコンジローマ除去の方法としては液体窒素による凍結凝固が一般的です。しかし、この方法はコンジローマ自体を一度に除去することは難しく、ほとんどが週一回などのペースで通院して少しずつウイルスを減らしていく治療方法となります。そのため、感染部位が広範囲な方やある程度の大きさが出ている方などは根治するまでに長期間を要することがほとんどです。

ベセルナクリームの効果

この尖圭コンジローマの治療薬として主成分イミキモドでできているベセルナクリームと呼ばれる塗り薬があります。この軟膏の効果としてはウイルスの増殖を抑制するものなのですが、毎日使用するのではなく、１日おきに患部に塗ります。今回の患者様もそうだったのですが、副作用として患部にびらん、表皮剥離、浮腫、疼痛、湿疹が出るケースもあるようです。そのため、連続での使用には制限があり、塗ったあとは6～10時間を目安に薬剤を石鹸などで、水または温水で必ず洗い流すようにしていただく必要があります。

今回の患者様はこの液体窒素による治療とベセルナクリームを併用した治療方法で、2年ほど治療をおこない、根治までに至らなかったようです。

コンジローマの厄介な点

ウイルス性で感染力が強く、主に性交渉などで粘膜感染します。状態をそのまま放置することで感染部位が広がっていったり、イボ状のものが大きくなっていく傾向があります。特に問題になるのはこの尖圭コンジローマに感染している間にパートナーの方に病気をうつしてしまう可能性があること。女性器については特に腟内や周辺に感染しているケースが多く、分かりにくい部位になると発見が遅れてしまうこともあります。定期的に婦人科で検診を受けている方であれば、早期に発見できるケースもありますが、やはり子宮頸ガンなどのリスクを考えると男性も女性もないものができた場合、早めに受診することが大切です。

当院でおこなっている尖圭コンジローマ除去の方法

ご来院いただく患者様によっては状態も感染部位も様々です。亀頭や包皮周辺にできているものであれば、比較的発見も早いため早期に治療をおこなうこともできるのですが、肛門周辺や陰嚢部の裏側など、ご自身では確認しづらい部位にできているケースも多々見受けます。当院でおこなっている尖圭コンジローマ除去の方法としては患部に麻酔をし、イボ状にできているもの自体を根本的にで焼灼・除去していきます。そのため、液体窒素による凍結凝固の方法に比べ、一度にコンジローマ自体をしっかりと除去することが可能です。しかし、見た目にイボ状のものがなくなったとはいえ、再発リスクはありますので経過観察が必要となりますが、ある程度の大きさや広範囲にわたって尖圭コンジローマができてしまっている方に対しては、一気にウイルス性のイボ自体を減らすことが可能です。

尖圭コンジローマの治療方法・完治期間の目安

男性器の場合、その尖圭コンジローマらしきものの一部を採取し検査機関へ組織検査に出します。治療方法としては丁寧にできている部位を電気メスで焼灼除去。しかし再発リスクもあるため、除去したから完治との判断はできません。日本感染症学会のガイドラインに沿ってお話しますと、治療後３か月以内に約２５％が再発するケースもあるため、経過観察となります。そのため、当院でも治療後３か月は再発がないかどうか、それが完治期間の目安となります。この完治期間をみると分かるように大変厄介な病気です。

東郷院長の診察

陰茎部および亀頭下周辺にコンジローマらしきイボをいくつも確認できる。肛門に近い陰嚢部周辺にも多数できているが、ベセルナクリームの影響かかぶれが酷く起こっている。大変広範囲でできてるイボ状のものの数は多いが、まずはできる限り量を減らしていき、再発に備え経過観察が必要との判断。

今回のオペ内容

性感染症（ＳＴＤ）
尖圭コンジローマ除去
1範囲　￥88,000－（税込）

術後の患者様

陰嚢部や亀頭周辺は思っている以上に大変感覚が敏感なため、段階的な麻酔でも注射の痛みを強く感じます。除去範囲をおこなうイボ状のものをしっかりと確認しながら、しっかりと麻酔をおこない丁寧に除去をおこないました。目視で確認できるものでも感染部位も数も多く大変な処置となりました。イボ周辺に小さなものがないかくまなく確認し、疑わしいものも含めて焼灼除去。事前の状態と術後の状態を写真で確認いただきました。あとは再発の可能性があるため、術後確認いただくことをしっかりとご理解いただき経過観察となります。処置後の患部は擦り傷のような状態でかさぶたができて治っていきますので、比較的術後の負担は大変少ないものとなります。

当院よりひとこと

今回のように広範囲にわたり、数が大変多くできてる場合、術後経過に関しては再発リスクが伴います。しかし、できるだけ術後負担と再発リスクを下げるため、根気よく細部にわたる除去が必要となります。この最初の治療でどこまでウイルスを減らせるのかが重要です。

この尖圭コンジローマは痛みもかゆみなどもなく自覚症状があまりないことで放置してしまう方が大変多くおられます。しかし、パートナーの方に感染させてしまう可能性の高い性感染症となるため、ご自身の問題だけでは済まされないことがあります。そのため、本当に注意していただきたいと思います。元々なかったものができた場合、まずは病気かもしれないと疑ってください。まず診察等で受診し、どういったものができているのか確認することをお勧めします。

尖圭コンジローマの場合、パートナーの方に感染させてしまう可能性、そしてこのウイルスは子宮頸がんなどの要因になると認識している女性も多くおられます。厳密にいいますとヒトパピローマウイルス（HPV)感染のみではなく、他の複数の因子が要因となり異形成となるようです。大切なパートナーの方に対して男性自身も、もっと性感染症について知っておく必要があると思います。