コンジローマ除去　長崎県北松浦郡から【診療録186】泌尿器科で治療したが

2022.04.17

本日は長崎県北松浦郡より、コンジローマ除去を希望された４０代の患者様がご来院されました。

治療の経緯

今回の患者様は、1年ほど前に陰茎部の根元にイボ状のものができたことに気づいたそうです。特に気にすることなく放置しておくと、だんだんとイボが増えてきたため、地元の泌尿器科を受診し、ベセルナクリームの処方を受けたそうです。その病院での治療はそのクリームを塗ることだけで、それ以外に処置は全くなかったそうです。何か月も処方されたクリームを塗っていたのですが、状態は改善せず。逆に包皮に赤みや痛みを感じるようになり状態が悪化してきたとの事。今回、インターネット検索にて当院の治療症例ブログを見てご来院されました。

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個人クリニックならではの強み

クリニックを選ぶ際に「料金」ばかり気にしていると、いざという時に
困ることがあります。治療は治るまでが治療であることをお忘れなく。

福岡・博多・天神で手術を受け、術後の緊急時対応で夜間でも駆けつけてくれる執刀医がどれほど
いると思いますか。

大手クリニックチェーンに多い医師が出張で手術を行っている医療機関では、このような対応は難しいかと思われます。
当院のように院長が常駐しており、緊急時もすぐに駆け付けて対応できる医療機関は、実際大変少ないと思われます。

本当に患者様が治療後も安心だと感じる、術後のアフターケア対応はこういうことだと当院は考えます。

気がついたらイボのようなものができていた

今回の患者様のように、地元の泌尿器科を受診したが状態改善しないとのご相談を大変多くいただいております。一般的には亀頭部のカリ首周辺にフォアダイス（真珠様小丘疹）と呼ばれるタイプのものができている方は多いのですが、このタイプのブツブツは害がありません。その多くが思春期の頃にできていることに気づくことの多い脂肪や皮脂の塊のようなもの。このフォアダイスに関してはパートナーの方に感染する者ではありませんので、そのままにしておいて構いません。

しかし、これまでなかったブツブツができているとなれば、性感染症の尖圭コンジローマの可能性も考えられます。この場合、まずはお近くの医療機関で診断を受け、どのようなものができているのか知ることが大切だと考えます。

コンジローマの自覚症状とは

この尖圭コンジローマについて、痛みやかゆみなど症状は特にありません。そのため、ほとんどの方が気にすることなく放置してしてしまい、悪化してから気づくというケースがほとんどです。何かしらペニスに違和感を感じるようであれば、早期に医療機関を受診することが大切です。

特に尖圭コンジローマだった場合、そのままにしておきますと感染部位が広がっていったり、イボ状にできたブツブツ自体の大きさが変わったりしていきます。特にウイルス性のものとなりますので、気づかない間に大切なパートナーの方に感染を広げてしまう可能性もありますので注意が必要です。このタイプの性感染症は感染力も強く、大変厄介なものです。

性行為以外の感染経路として

この尖圭コンジローマに関してはウイルス性で感染力が強く、主に性交渉などで粘膜感染します。しかし、それ以外にオーラルセックスでの感染も多くみられています。そのため、知らず知らずのうちにパートナーの方に感染させてしまう可能性があります。男性器は表に出ているため、目視での状態確認がしやすいため、比較的早期に気づくことができますが、女性器については腟内や周辺に感染しているケースが多く、分かりにくい部位になると発見が遅れてしまうこともあります。

定期的に婦人科で検診を受けている方であれば、早期に発見できるケースもありますが、変異することで子宮頸ガンなどの要因になる可能性もあります。そのため、おかしいなと思えば、まずは病気を疑うようにしてください。

当院でおこなっている尖圭コンジローマ除去治療

当院でおこなっている尖圭コンジローマ除去の方法としては患部に麻酔をし、イボ状にできているもの自体を根本的にで焼灼・除去していきます。そのため、保険適用の医療機関の治療方法に多くみられる液体窒素による凍結凝固の方法に比べ、一度にコンジローマ自体をしっかりと除去することが可能です。最優先に考えるのはまずウイルスの数を減らすことが重要です。患者様の状態によっては亀頭周辺や陰茎部以外に肛門周辺に近い部位にできているケースもお見受けします。感染部位が広がりますと大変厄介なため、早期治療が完治への近道となります。除去ですが、見た目にイボ状のものがなくなったとはいえ、再発リスクはありますので経過観察が必要となります。

ちなみに今回の患者様が処方を受けていたベセルナクリームについては、ウイルスの増殖抑制効果は見込めるかもしれませんが、根本的にコンジローマ自体を処置する方法としては状態によっては完治が難しいと考えます。ある程度、患部が広がっているのであれば、まずは除去治療をおこない、そのうえでクリームを塗布させるのであれば、効果的だったのではと考えられます。そして、このベセルナクリームは皮膚にも大変負担がかかるため、正しい塗り方・方法で経過をみていく必要があります。

尖圭コンジローマの治療方法・完治期間の目安

男性の治療の場合、尖圭コンジローマと疑わしいブツブツの一部を採取し、検査機関へ組織検査に提出します。治療方法としては丁寧にできている部位を電気メスで焼灼除去。しかし再発リスクもあるため、除去したから完治との判断はできません。日本感染症学会のガイドラインに沿ってお話しますと、治療後３か月以内に約２５％が再発するケースもあるため、経過観察となります。そのため、当院でも治療後３か月は再発がないかどうか、それが完治期間の目安となります。この完治期間をみると分かるようにウイルスの力は大変強く厄介な性感染症だと言えます。

患者様のお悩みとは

気にせずに放置していたら、だんだんとイボ状のものが広がってきてしまった。地元の泌尿器科で治療を受けたが改善せず、むしろ状態が悪化している印象です。今回は根本的に外科治療をもって除去を希望しています。今後の再発について心配な点もあるため、術後経過についての内容をしっかり確認し、治療を受けたいと思っています。

東郷院長の診察

地元の泌尿器科を受診し、尖圭コンジローマとの診断あり。陰茎部根元および陰茎部に渡って広範囲に患部が広がっている。大きくイボ状に隆起したコンジローマも多数あり。ベセルナクリームで対応をおこなってきたとの事だが、これ以上感染部位が広がらないよう、まずは根本的に除去治療することをお勧めします。

今回のオペ内容

性感染症（ＳＴＤ）
尖圭コンジローマ除去
1範囲　￥96,800－（税込）

術後の患者様

段階的にしっかりと麻酔をおこない、丁寧に目視で確認できるものを徹底的に除去しました。患部は陰茎部の根元から陰茎部にまで広がっており、小さなものがないか確認しながら除去をおこないました。ここまで広範囲で大きさのある状態になっている場合、再発の可能性が大変高いため、術後確認いただくことをしっかりとご理解いただき経過観察となります。

処置後の患部は擦り傷のような状態でかさぶたができて治っていきますので、治療自体は比較的負担は少ないものとなります。しかし、当面は再発がないか注意が必要なため、経過来院をお願いしております。

当院よりひとこと

この尖圭コンジローマと呼ばれる性感染症については痛みもかゆみなどもなく自覚症状があまりありません。しかし、患部が広がったり明らかにイボ状のものが隆起し異変に気づいた時には処置が厄介になっていることがほとんど。特にパートナーの方に感染させてしまう可能性の高い性感染症となるため、ご自身の問題だけでは済まされないことがあります。

そのため、元々なかったものができた場合、まずは病気かもしれないと疑ってください。まず診察等で医療機関で受診し、どういったものができているのか確認することをお勧めします。何も影響がないものであれば、ひと安心。要ははっきりとした診断結果があれば、悩む必要はありません。病気なのかどうなのか迷っている時間がその後の治療に影響します。早期治療が非常に大切です。

もし尖圭コンジローマだったの場合、パートナーの方に感染させてしまう可能性があるため、まずはご自身が除去治療をしっかりと受けること。そして、特定のパートナーの方がおられる場合、必ず婦人科受診をするよう伝えてください。このコンジローマのウイルスは子宮頸がんなどの要因になると認識している女性も多くおられます。厳密にいいますとヒトパピローマウイルス（HPV)感染のみではなく、他の複数の因子が要因となり異形成となるようです。大切なパートナーの方に対して男性自身も、もっと性感染症について知っておく必要があると思います。